黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2023年9月8日
キャッシュレス
QRコード決済
スマホ決済
スマホ決済とは、その名のとおり、スマートフォンを使った決済方法のことです。スマートフォンさえあれば支払いができる手軽さなどから、スマホ決済の利用者は近年増加傾向にあります。それに伴い、スマホ決済を導入しようと検討している店舗も多いのではないでしょうか。
スマホ決済を導入する際には、スマホ決済の仕組みや種類、特徴についてしっかりと把握し、自店舗の状況に合わせて検討することが大切です。ここでは、スマホ決済の概要と種類、スマホ決済を導入するメリットや注意点などについて解説します。
さまざまなキャッシュレス決済のなかでも、近年利用者数が伸びているのが、スマホ決済です。しかし、「最近スマホ決済とよく聞くけれど、本当にニーズはあるのだろうか」「スマホ決済がどんなものかよくわからない」という人も多いかもしれません。まずは、スマホ決済の基本を押さえておきましょう。
スマホ決済とはキャッシュレス決済のひとつで、スマートフォンを使って支払いをする方法のことです。現金やカードは使わず、スマートフォンさえあれば決済が可能です。
スマホ決済には、スマートフォンに専用アプリをインストールして支払い手続きをする「非接触型決済」と「QRコード(バーコード)決済」のほか、携帯電話料金と合算して支払う「キャリア決済」があります。実店舗での支払いのほか、QRコード決済の一部やキャリア決済は、オンラインショッピングでも利用できます。
■キャッシュレス決済の種類
2019年から2020年にかけて経済産業省の事業として実施された「キャッシュレス・ポイント還元事業」などの影響もあり、スマホ決済の利用者は増加傾向にあります。
また、2022年に発表された消費者庁の「店頭購入及びキャッシュレス決済に関する意識調査結果」によると、利用頻度の高い決済方法について、スマホ決済であるQRコード(バーコード)決済を選んだ人は、2019年12月では34.4%でしたが2022年2月には51.8%となっており、ほかのキャッシュレス決済手段に比べて大きく伸びていることがわかります。
■利用頻度の高いキャッシュレス決済手段
さらに経済産業省は、2018年4月に、日本のキャッシュレス化の方向性や方針などを定めた「キャッシュレス・ビジョン」を策定し、日本のキャッシュレス決済比率を2025年までに40%程度、将来的には世界最高水準の80%まで上昇させるという目標を掲げています。国内のスマートフォンの世帯保有率は9割近くに達していることもあり、スマホ決済の普及は今後も拡大していくと予想されます。
スマホ決済は「キャリア決済」「専用アプリによる非接触型決済」「QRコード(バーコード)決済」という、大きく3つの種類に分けられます。それぞれの仕組みや違いについて見ていきましょう。
キャリア決済とは、利用代金を、各キャリアの携帯電話料金と合算して支払う方法です。主にオンラインショッピングやWebサービスなどで利用されます。
キャリア決済は、IDや暗証番号を入力することで決済が完了するため、クレジットカードや電子マネーがなくても問題ありません。携帯電話料金をクレジットカード払いに設定しているならクレジットカードで、口座振替にしているなら口座振替で支払うことになります。
キャリア決済については、下記の記事をご覧ください。
非接触型決済(非接触IC決済)は、スマートフォンに搭載されたNFCやFeliCa、Bluetoothなどの無線通信を利用した決済方法です。専用アプリをインストールしたスマートフォンを、店頭に設置された決済端末にかざすことで支払いができます。クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどを登録して利用します。
QRコード(バーコード)決済は、決済用のコードを読み取ることで支払いを行う方法です。店舗側が設置したコードを利用者がスマートフォンで読み取る「ユーザースキャン方式」と、スマートフォンの画面に表示したコードを店舗側がスキャンする「ストアスキャン方式」の2種類があります。QRコード決済アプリに、クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどを登録して利用します。
QRコード決済については、下記の記事をご覧ください。
スマホ決済の支払いタイミングは、「前払い(プリペイド型)」「即時払い(デビット型)」「後払い(ポストペイ型)」の3つに分けられ、サービスの種類や登録した決済方法などによって異なります。各支払いタイミングの特徴について、詳しく見ていきましょう。
前払いは、使用したいスマートフォン決済アプリに、あらかじめお金をチャージしておく方法です。主なチャージ方法は、銀行口座からの引き落とし、クレジットカード、ATMからの入金、ポイントからの支払いなどです。基本的にはチャージした金額の範囲内でしか利用できませんが、クレジットカードなどを登録することでオートチャージが可能な場合もあります。
即時払いとは、利用した代金が、指定した銀行口座からすぐに引き落とされる方法です。金融機関が提供しているスマートフォン決済アプリで、即時払いが可能です。
また、スマートフォン決済アプリにデビットカードを登録した場合も、利用代金は即時払いになります。
後払いとは、買物などに利用した代金を、後日まとめて支払う方法です。スマートフォン決済アプリにクレジットカードを登録している場合、スマートフォン決済の利用額を含めたクレジットカード利用額が、支払日に引き落とされます。また、携帯電話料金と合算して利用代金を支払うキャリア決済も、後払いに該当します。
スマホ決済の基本を知った上で、店舗側がスマホ決済を導入するメリットについて確認してみましょう。店舗側には次のようなメリットがあります。
前述したように、スマホ決済の利用者は近年増加傾向にあります。スマホ決済を普段から利用している人にとっては、「スマホ決済が利用できる」ことは、店選びのポイントのひとつになるでしょう。現金払いにしか対応していないと、集客機会を逃しかねません。
また、スマホ決済はECサイトの集客にも有効です。スマホ決済ならクレジットカード番号のような長い情報を入力する必要がないため、「購入したい」と思ったタイミングで気軽に決済ができます。商品をカートに入れたものの結局購入に至らない、いわゆる「カゴ落ち」と呼ばれるサイト離脱の防止にもつながります。
スマホ決済では、店舗での現金やカードのやりとりが不要です。スマートフォンさえあればスピーディーに決済が完了するため、レジ業務の負担軽減や混雑緩和につながります。釣銭の渡し忘れや精算ミスといったヒューマンエラーも防げるでしょう。
現金払いにしか対応していない店舗では、釣銭用の紙幣や硬貨を毎日一定量用意しなければいけません。現金を両替するには手間がかかる上、手数料も発生します。また、レジ締めの際には大量の現金を集計しなければならず、もし売上額と現金が合わなかった場合は一から数え直しということにもなりかねません。
スマホ決済であれば、現金不要でさらに売上は自動的にデータ化されるため、現金や売上管理の手間を削減することができます。
多額の現金を店舗に保管していたり、銀行口座に入金するために持ち歩いたりすると、盗難のリスクが高まります。スマホ決済を導入すれば、店舗で保管する現金が少なくなるため、防犯対策としても効果的です。
メリットがある一方で、スマホ決済には次のような注意点もあります。スマホ決済の導入を検討する際には、メリットとデメリットの両方をしっかり把握しておくことが大切です。
スマホ決済サービスの種類によっては、導入時に初期費用がかかります。また、導入後は基本的に決済手数料がかかることを覚えておきましょう。
初期費用や決済手数料は、スマホ決済サービスを提供する会社によって異なるため、導入する際にはランニングコストも含めて費用をしっかり比較検討することが必要です。
スマホ決済のなかには専用端末が必要な場合もあります。非接触型決済の場合は、スマートフォンに内蔵されたICチップを読み取る専用端末が、QRコード(バーコード)決済でストアスキャン方式を導入した場合は、QRコードやバーコードを読み取る端末が、それぞれ必要です。導入後は、従業員が専用端末を問題なく使えるよう、研修や教育を行うことも忘れないようにしましょう。
スマホ決済は利用者にとっても、利便性の高い決済方法です。主なメリットには下記のようなものがあります。
スマホ決済の大きな特徴が、スマートフォンだけで支払いが完了することです。もし手持ちの現金が足りなくても、後払いシステムのスマホ決済なら問題ないでしょう。なかには、その場でチャージが可能なスマホ決済サービスもあります。
そもそも、スマートフォン決済では財布は必要ありません。現金はもちろん、カードも必要ないため、財布を持ち歩かずに買い物ができます。
実店舗でスマホ決済を利用する際は、「QRコードを読み取るだけ」「スマートフォンを端末にかざすだけ」など、ワンアクションで支払いができるものが多くあります。
財布の中から小銭を探したり、釣銭を受け取ったりする必要がなく、スピーディーに会計ができます。
スマホ決済サービスの多くは、利用金額に応じてポイントがたまります。また、割引クーポンの配布や、キャッシュバックキャンペーンが実施されることもあります。現金払いに比べて、お得に買物を楽しむことができるでしょう。
スマホ決済は、基本的に支払いやチャージの履歴をいつでも簡単に確認できます。家計管理のためにレシートを確認する必要がありません。
スマートフォンには、暗証コードをはじめ、指紋認証や顔認証といった生体認証など、さまざまなロック機能があります。
また、万が一紛失や盗難に遭った場合も、遠隔操作で利用を停止することができます。現金と比べてセキュリティ対策の選択肢が多いことは、利用者にとってあんしん材料になります。
スマホ決済サービスのなかには、同じアプリのユーザー同士で送金ができる個人間送金があります。複数人で割り勘や集金をするときに個人間送金を利用すれば、煩雑な小銭のやりとりがなく便利です。銀行の営業時間外に送金したいときも、スマホ決済の個人間送金ならスムーズです。
スマホ決済の個人間送金については、下記の記事をご覧ください。
スマホ決済は利用者にとって便利な一方で、デメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのか、確認しておきましょう。
スマホ決済は、それぞれのサービスの加盟店しか使えません。スマホ決済にはさまざまな種類があり、店舗によって対応できるサービスが異なります。
スマホ決済を利用する際には、自分が使いたい決済サービスに対応しているかを確認する必要があります。
スマホ決済は通信環境のない場所では利用できません。通信環境が不安定だと、アプリの立ち上げや決済情報の送信に時間がかかる可能性があります。
また、スマートフォンの電源が入っていないと基本的には使えないので、充電切れには十分注意が必要です。
スマホ決済の多くは、スマートフォンに決済アプリをインストールして利用します。さらに、クレジットカードや銀行口座といった支払い方法の登録や、個人情報の設定などを行う必要があります。一度設定をしてしまえば後は便利に使えますが、最初の準備が面倒だと感じる人もいるかもしれません。
利用者側のスマホ決済のメリット・デメリットについては、下記の記事をご覧ください。
国内でのスマートフォン保有率は非常に高く、キャッシュレス決済推進の影響もあって、スマホ決済の利用者は今後ますます増えていくと考えられます。顧客ニーズに応え集客アップを目指すには、スマホ決済の導入は有効な手段となりますが、その際にはドコモのd払いがおすすめです。
d払いなら9,000万人以上のdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップが見込めます。また、ドコモの「スーパー販促プログラム」を使えば、d払い加盟店でも集客施策などを実施することができます。
自店舗に合ったスマホ決済サービスで、新規顧客獲得のチャンスを広げましょう。
よくあるご質問
スマホ決済にはどんな種類がありますか?
スマホ決済は、各キャリアの携帯電話料金と合算して支払う「キャリア決済」、スマートフォンに搭載されたNFCやFeliCa、Bluetoothなどの無線通信を利用した「非接触型決済」、決済用のコードを読み取ることで支払う「QRコード(バーコード)決済」という、大きく3つの種類に分けられます。
スマホ決済の支払いタイミングはいつですか?
スマホ決済の支払いタイミングは、あらかじめお金をチャージしておく「前払い(プリペイド型)」、利用した代金が指定した銀行口座からすぐに引き落とされる「即時払い(デビット型)」、利用した代金を後日まとめて支払う「後払い(ポストペイ型)」に分けられ、サービスの種類や登録した決済方法などによって異なります。
スマホ決済を導入する店舗側のメリットは?
スマホ決済を普段から利用している人にとっては、「スマホ決済が利用できる」ことは、店選びのポイントのひとつになります。店舗で導入するとジ業務の負担軽減や混雑緩和、現金管理の手間を削減、盗難のリスクが減るなどのメリットがあります。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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