黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2023年9月8日(最終更新日:2024年9月30日)
キャッシュレス
QRコード決済
スマホ決済
スマホ決済とは、その名のとおり、スマートフォンをつかった決済方法のことです。スマートフォンさえあれば支払いができる手軽さなどから、スマホ決済を利用するお客さまは近年増加傾向にあります。それに伴い、スマホ決済の導入を検討している人もいるかもしれません。
スマホ決済を導入する際には、スマホ決済の仕組みや種類、特徴についてしっかりと把握し、店舗の状況に合わせて検討することが大切です。
ここでは、スマホ決済の特徴と種類、スマホ決済を利用するメリットや注意点などについて解説します。
スマホ決済とはキャッシュレス決済のひとつで、スマートフォンをつかって支払いをする決済方法のことです。現金やカードはつかわず、スマートフォンさえあれば決済が可能です。
スマホ決済には、かざすだけで支払いが完了する「非接触型決済」と、スマートフォンに専用アプリをインストールして支払手続きをする「QRコード決済・バーコード決済」のほか、携帯電話料金と合算して支払う「キャリア決済」があります。実店舗での支払いのほか、QRコード決済・バーコード決済の一部やキャリア決済は、オンラインショッピングでも利用できます。
■キャッシュレス決済の種類
2019年から2020年にかけて経済産業省の事業として実施された「キャッシュレス・ポイント還元事業」などの影響もあり、スマホ決済の利用者は増加傾向にあります。
また、2022年に発表された消費者庁の「店頭購入及びキャッシュレス決済に関する意識調査結果」によると、利用頻度の高い決済方法について、スマホ決済であるQRコード(バーコード)決済を選んだ人は、2019年12月では34.4%でしたが2022年2月には51.8%となっており、ほかのキャッシュレス決済手段に比べて大きく伸びていることがわかります。
■利用頻度の高いキャッシュレス決済手段
さらに経済産業省は、2018年4月に、日本のキャッシュレス化の方向性や方針などを定めた「キャッシュレス・ビジョン」を策定し、日本のキャッシュレス決済比率を2025年までに40%程度、将来的には世界最高水準の80%まで上昇させるという目標を掲げています。国内のスマートフォンの世帯保有率は9割近くに達していることもあり、スマホ決済の普及は今後も拡大していくと予想されます。
スマホ決済は、下記の図のとおり「非接触型決済」「QRコード決済・バーコード決済」「キャリア決済」という、大きく3つの種類にわけられます。それぞれの特徴について見ていきましょう。
■非接触型決済、QRコード決済・バーコード決済、キャリア決済の特徴とメリット
非接触型決済(非接触IC決済)は、スマートフォンに搭載されたNFCやFeliCa、Bluetoothなどの無線通信を利用した決済方法です。店頭に設置された決済端末にかざすことで支払いができます。クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどを登録して利用します。
NFC決済を導入するメリットなどについては、下記の記事をご覧ください。
QRコード決済・バーコード決済は、決済用のコードを読み取ることで支払いを行う方法です。店舗側が設置したコードをお客さまがスマートフォンで読み取る「ユーザースキャン方式」と、お客さまのスマートフォンの画面に表示したコードを店舗側がスキャンする「ストアスキャン方式」の2種類があります。QRコード決済アプリに、クレジットカードやデビットカード、電子マネーなどを登録して利用します。
■ストアスキャン方式とユーザースキャン方式の特徴
QRコード決済・バーコード決済については、下記の記事をご覧ください。
QRコード決済・バーコード決済の手数料については、下記の記事をご覧ください。
キャリア決済とは、利用代金を、各キャリアの携帯電話料金と合算して支払う方法です。主にオンラインショッピングやWebサービスなどで利用されます。
キャリア決済は、IDや暗証番号を入力することで決済が完了するため、クレジットカードや電子マネーがなくても問題ありません。携帯電話料金をクレジットカード払いに設定しているならクレジットカードで、口座振替にしているなら口座振替で支払うことになります。
キャリア決済については、下記の記事をご覧ください
スマホ決済の支払方法は、「前払い(プリペイド型)」「即時払い(デビット型)」「後払い(ポストペイ型)」の3つにわけられ、サービスの種類や登録した決済方法などによって異なります。各支払方法の特徴について、詳しく見ていきましょう。
前払いは、使用したいスマートフォン決済アプリに、あらかじめお金をチャージしておく方法です。主なチャージ方法は、銀行口座からの引き落とし、クレジットカード、ATMからの入金、ポイントからの支払いなどです。基本的にはチャージした金額の範囲内でしか利用できませんが、クレジットカードなどを登録することでオートチャージが可能な場合もあります。
即時払いとは、利用した代金が、指定した銀行口座からすぐに引き落とされる方法です。金融機関が提供しているスマートフォン決済アプリで、即時払いが可能です。
また、スマートフォン決済アプリにデビットカードを登録した場合も、利用代金は即時払いになります。
後払いとは、お買物などに利用した代金を、後日まとめて支払う方法です。スマートフォン決済アプリにクレジットカードを登録している場合、スマートフォン決済の利用額を含めたクレジットカード利用額が、支払日に引き落とされます。また、携帯電話料金と合算して利用代金を支払うキャリア決済も、後払いに該当します。
スマホ決済の基本を知った上で、店舗側がスマホ決済を導入するメリットについて確認してみましょう。店舗側には次のようなメリットがあります。
前述したように、スマホ決済の利用者は近年増加傾向にあります。スマホ決済を普段から利用している人にとっては、「スマホ決済が利用できる」ことは、店選びのポイントのひとつになるでしょう。現金払いにしか対応していないと、集客機会を逃しかねません。
また、スマホ決済はECサイトの集客にも有効です。スマホ決済ならクレジットカード番号のような長い情報を入力する必要がないため、「購入したい」と思ったタイミングで気軽に決済ができます。商品をカートに入れたものの結局購入に至らない、いわゆる「カゴ落ち」と呼ばれるサイト離脱の防止にもつながります。
スマホ決済では、店舗での現金やカードのやりとりが不要です。スマートフォンさえあればスピーディーに決済が完了するため、レジ業務の負担軽減や混雑緩和につながります。釣銭の渡し忘れや精算ミスといったヒューマンエラーも防げるでしょう。
現金払いにしか対応していない店舗では、釣銭用の紙幣や硬貨を毎日一定量用意しなければいけません。現金を両替するには手間がかかる上、手数料も発生します。また、レジ締めの際には大量の現金を集計しなければならず、もし売上額と現金が合わなかった場合は一から数え直しということにもなりかねません。
スマホ決済であれば、現金不要でさらに売上は自動的にデータ化されるため、現金や売上管理の手間を削減することができます。
多額の現金を店舗に保管していたり、銀行口座に入金するために持ち歩いたりすると、盗難のリスクが高まります。スマホ決済を導入すれば、店舗で保管する現金が少なくなるため、防犯対策としても効果的です。
メリットがある一方で、スマホ決済には次のような注意点もあります。スマホ決済の導入を検討する際には、メリットとデメリットの両方をしっかり把握しておくことが大切です。
スマホ決済サービスの種類によっては、導入時に初期費用がかかります。また、導入後は基本的に決済手数料がかかることを覚えておきましょう。
初期費用や決済手数料は、スマホ決済サービスを提供する会社によって異なるため、導入する際にはランニングコストも含めて費用をしっかり比較検討することが必要です。
スマホ決済のなかには専用端末が必要な場合もあります。非接触型決済の場合は、スマートフォンに内蔵されたICチップを読み取る専用端末が、QRコード(バーコード)決済でストアスキャン方式を導入した場合は、QRコードやバーコードを読み取る端末が、それぞれ必要です。導入後は、従業員が専用端末を問題なく使えるよう、研修や教育を行うことも忘れないようにしましょう。
スマホ決済は利用するお客さまにとって、利便性の高い決済方法です。主なメリットは下記のようなものがあります。
<スマホ決済を利用するメリット>
・財布や現金が不要
・スピーディーに支払いができる
スマホ決済の大きな特徴が、スマートフォンだけで支払いが完了することです。もし手持ちの現金が足りなくても、後払いシステムのスマホ決済なら問題ないでしょう。なかには、その場でチャージが可能なスマホ決済サービスもあります。
そもそも、スマートフォン決済では財布は必要ありません。現金はもちろん、カードも必要ないため、財布を持ち歩かずにお買物ができます。
スマホ決済を利用する際は、「QRコードを読み取るだけ」「スマートフォンを決済端末にかざすだけ」など、ワンアクションで支払いができるものが多くあります。
財布の中から小銭を探したり、釣銭を受け取ったりする必要がなく、スピーディーに会計ができます。
スマホ決済サービスの多くは、利用金額に応じてポイントがたまります。また、割引クーポンの配布や、キャッシュバックキャンペーンが実施されることもあります。現金払いに比べて、お得にお買物を楽しむことができるでしょう。
スマホ決済は、基本的に支払いやチャージの履歴をいつでも簡単に確認できます。家計管理のためにレシートを確認する必要がありません。
スマートフォンには、暗証コードをはじめ、指紋認証や顔認証といった生体認証など、さまざまなロック機能があります。
また、万が一紛失や盗難に遭った場合も、遠隔操作で利用を停止することができます。現金と比べてセキュリティ対策の選択肢が多いことは、利用するお客さまにとってあんしん材料になります。
スマホ決済サービスのなかには、同じアプリのユーザー同士で送金ができる個人間送金があります。複数人で割り勘や集金をするときに個人間送金を利用すれば、煩雑な小銭のやりとりがなく便利です。銀行の営業時間外に送金したいときも、スマホ決済の個人間送金ならスムーズです。
スマホ決済の個人間送金については、下記の記事をご覧ください。
スマホ決済は利用するお客さまにとって便利な一方で、下記のようなデメリットもあります。具体的にどのようなデメリットがあるのか、確認しておきましょう。
<スマホ決済を利用するデメリット>
・各サービスの加盟店でなければ利用できない
・通信環境がないと利用できない
・初期設定が必要
スマホ決済は、それぞれのサービスの加盟店でしかつかえません。スマホ決済にはさまざまな種類があり、店舗によって対応できるサービスが異なります。
スマホ決済を利用する際には、つかいたい決済サービスが店舗で対応しているかを確認する必要があります。
スマホ決済は通信環境のない場所では利用できません。通信環境が不安定だと、アプリの立ち上げや決済情報の送信に時間がかかる可能性があります。
また、スマートフォンの電源が入っていないと基本的にはつかえないので、充電切れには十分注意が必要です。
スマホ決済の多くは、スマートフォンに決済アプリをインストールして利用します。さらに、クレジットカードや銀行口座といった支払方法の登録や、個人情報の設定などを行う必要があります。一度設定をしてしまえば後は便利につかえますが、最初の準備が面倒だと感じる人もいるかもしれません。
スマホ決済は非常に利便性の高い支払方法ですが、その反面「セキュリティ面が心配」と感じる人もいるかもしれません。スマホ決済をあんぜんに利用するためには、下記の点に注意が必要です。
スマホ決済にはIDやパスワードをつかってアクセスします。不正利用を防ぐには、スマートフォンの端末やQRコード決済アプリのパスワードを、できるだけ複雑なものにしておくことが大切です。
推測されやすいパスワードの設定や、パスワードのつかい回しは、不正利用のリスクを高めてしまうため避けましょう。パスワードを設定する際は、アルファベットの大文字、小文字、数字、記号などを組み合わせて複雑にすることをおすすめします。また、スマートフォンの生体認証機能を利用するのもひとつの方法です。
スマホ決済をあんぜんに利用するには、決済履歴を定期的に確認することも重要です。アプリやオンラインアカウントで定期的に決済履歴をチェックし、身に覚えのない取引がないかを確認しましょう。もし不正な内容を発見した場合は、すぐに決済会社へ連絡してください。万が一不正利用があっても、早期に発見できれば、被害を最小限に抑えられる可能性が高くなります。
反対に、決済履歴を確認せずに不正利用の発覚が遅れると、被害が拡大してしまうかもしれません。不審な取引があれば迅速に対処できるように、決済時のアラートや通知を有効にしておくこともひとつの方法です。
スマートフォンの紛失や盗難があった場合は、すぐに利用停止の手続きを行いましょう。たとえパスワードや生体認証の設定をしていても、スマートフォンが他人の手に渡ってしまった場合、不正利用のリスクを完全に防ぐことはできません。スマートフォンをなくしたり盗まれたりしたときは、忘れずにスマホ決済サービスの利用を停止してください。
スマホ決済のあんぜん性については、下記の記事をご覧ください。
いつも持ち歩いているスマートフォンで支払いができるスマホ決済は、その利便性の高さから、多くの人に利用されています。スマートフォンの普及やキャッシュレス決済推進の影響もあり、スマホ決済を利用するお客さまは今後ますます増えると予想されます。こうしたお客さまのニーズに応えるため、スマホ決済の導入を検討する店舗も少なくありません。
スマホ決済を導入するなら、ドコモのd払いがおすすめです。d払いなら1億人以上のdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップが見込めるでしょう。
また、ドコモでは、d払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策ができるようになります。
スマホ決済を導入する場合は、ぜひ、ドコモのd払いをご検討ください。
d払いの導入事例については、下記のページをご覧ください。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
スマホ決済を安全に利用するには?
スマホ決済を安全に利用するためには、下記の点に注意が必要です。
・簡単なパスワードを設定しない
・決済履歴を定期的に確認する
・スマートフォン紛失時は利用停止の手続きをする
スマホ決済はQRコード決済・バーコード決済以外にありますか?
スマホ決済はQRコード決済・バーコード決済以外にも、スマートフォンに搭載されたNFCやFeliCa、Bluetoothなどの無線通信を利用した「非接触型決済」や利用代金を、各キャリアの携帯電話料金と合算して支払う「キャリア決済」などがあります。
スマホ決済を利用する際のデメリットはありますか?
「各サービスの加盟店でなければ利用できない」、「通信環境がないと利用できない」、「初期設定が必要」など、デメリットもあります。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者/2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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