坪谷 亮
FPサテライト株式会社 取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 日本FP協会 認定CFP®
大学時代にFPについて知り、22歳までにCFP®を取得。
FPや金融業界の現状を知り、お客さまとの利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートしている。
2023年10月4日
キャッシュレス
経営ノウハウ
最近では、キャッシュレス決済は、消費者にとって身近な決済方法になっています。しかし、これまで現金決済で営業をしてきた店舗のなかには、「キャッシュレス決済が店舗にどのようなメリットがあるのかわからず、導入に踏み切れない」という人もいるかもしれません。
キャッシュレス決済を導入する際には、店舗にとってのメリットと注意点を把握した上で検討することが大切です。本記事では、キャッシュレス決済を導入するメリットや注意点に加えて、キャッシュレス決済サービスの選び方のポイントや導入方法などについても解説します。
キャッシュレス決済とは、現金を使わない決済方法のことです。キャッシュレス決済にはさまざまな方法がありますが、大きく2つに分けられます。カードを使って決済する方法と、スマートフォンを使用して決済する方法です。
カードで利用できるキャッシュレス決済には、クレジットカードやデビットカード、プリペイドカード(電子マネー)などがあり、スマートフォンで利用できるキャッシュレス決済は、QRコード(バーコード)決済や電子マネー決済、専用アプリによる非接触型決済、キャリア決済などがあります。
経済産業省によれば、国内のキャッシュレス決済比率は年々増加しており、2022年には36.0%となっています。経済産業省が2018年に定めた「キャッシュレス・ビジョン」では、キャッシュレス決済比率を2025年までに40%程度、将来的には世界最高水準の80%まで上昇させることを目標に掲げおり、今後、国内のキャッシュレス市場はますます拡大していくでしょう。
キャッシュレス決済については、下記の記事をご覧ください。
キャッシュレス決済を導入すると、店舗にとって、どのようなメリットがあるのでしょうか。ここでは、主なメリットを3つご紹介します。
キャッシュレス決済を導入すると、業務の効率化が期待できます。キャッシュレス決済では、会計の際に現金を受け取って釣銭を渡すという、一連の作業が不要です。そのため、会計にかかる時間が短縮されてレジの混雑緩和につながる上、現金の受け渡しによるミスを防ぐこともできるでしょう。経済産業省によると、キャッシュレス決済の利用により、現金決済に比べてレジ業務の所要時間が35%短縮できるというデータもあります。
さらに、キャッシュレス決済を導入すると、日々の会計がデータ化されるため、売上管理も行いやすくなります。また、会計ソフトを連動させることによって、業務全体の効率化も可能です。
キャッシュレス決済の普及に伴い、外出時に現金を持ち歩かない人は、若い世代になるにつれて増えています。また、2021年に実施した経済産業省の調査によると、「キャッシュレス決済利用者のうち4割強は、キャッシュレス決済に対応していない店舗の利用を避ける」というデータもあります。
現金決済にしか対応していないと、このような潜在顧客が他店舗に流れてしまう可能性があります。キャッシュレス決済を導入することによって、販売機会の損失を防げるでしょう。
キャッシュレス決済は、現金払いに比べて客単価が高くなる傾向があります。これは、「手元に現金がなくても買物ができる」というキャッシュレス決済の特徴によるものでしょう。
キャッシュレス決済なら現金の持ち合わせがなくても買物ができるので、比較的高額な商品でも分割払いなどによって利用者の購入ハードルが下がり、その結果として売上アップが見込めます。
メリットの多いキャッシュレス決済ですが、導入に踏み切れず迷っている店舗も少なくないようです。2021年に実施した経済産業省の調査によると、事業者がキャッシュレス決済を導入していない理由としては、次のような声が挙がっています。
キャッシュレス決済を導入していない理由として最も多いのが、「客からの要望がない」という回答でした。確かに、これまで現金決済で問題なく営業してきた店舗からすれば、キャッシュレス決済のニーズはつかみにくいかもしれません。
しかし、キャッシュレス決済非対応であることで、前述したような販売機会の損失につながっている可能性もあります。また、今は顧客ニーズを実感できなくても、今後キャッシュレス市場はますます拡大すると予想されています。将来的な顧客層の拡大や売上アップを目指すなら、キャッシュレス決済の導入も視野に入れて検討した方がいいかもしれません。
キャッシュレス決済の導入時には、専用端末の設置などの初期費用が必要になることがあります。また、導入後も、決済手数料などのコストが発生します。これらのコストがネックになって、キャッシュレス決済の導入をためらうケースも少なくありません。
導入にあたってかかるコストは、キャッシュレス決済の種類や決済事業者によっても異なります。初期費用やランニングコストについては、導入前にしっかり確認することが大切です。
これまでキャッシュレス決済を導入したことがなければ、なかなかメリットを実感しにくいものです。特に、これまで現金払いで大きな問題を感じたことがなければ、キャッシュレス決済の導入を決めるきっかけがないかもしれません。
しかし、キャッシュレス決済には、前述したようなさまざまなメリットがあります。初期費用や月額料金をシミュレーションした上で、店舗にとってメリットが多いかを検討してみましょ。
キャッシュレス決済では、現金決済のように、売上と同時に手元に現金が入るわけではありません。キャッシュレス決済の売上は、決済事業者ごとの入金サイクルに従って、一定期間が経過してから入金されます。そのため、小規模の店舗や、売上の変動が大きい店舗などでは、キャッシュフローの悪化を招く可能性があります。事前に入金サイクルを確認の上、しっかりと資金繰り計画を立てておくことをおすすめします。
業種別のキャッシュレス決済の導入については、下記の記事をご覧ください。
キャッシュレス決済を導入するには、決済事業者と直接契約する方法と、決済代行会社を利用する方法があります。それぞれの違いを見ていきましょう。
直接決済事業者と契約するには、決済事業者へ個別に問い合わせをし、加盟店契約を結びます。直接契約なので、仲介業者を挟むよりも手数料は割安になることが多いですが、キャッシュレス決済サービスの種類ごとに手続きをしなければいけないため、手間がかかります。
決済代行会社を利用すると、複数のキャッシュレス決済サービスをまとめて契約することができます。さまざまな種類のキャッシュレス決済を一括して導入でき、管理もしやすくなるでしょう。手続きなどにかかる手間が軽減できますが、直接契約に比べて手数料は高くなる場合があります。手数料は決済代行会社によって異なり、業種や事業規模などによっても変わるため、検討する際は各社の見積もりをとることをおすすめします。
キャッシュレス決済の導入に必要な手続きは、決済事業者やサービスの種類によって異なります。ここでは、一般的な導入の流れをご紹介します。
導入したいキャッシュレス決済サービスを決めて、申込みを行います。必要書類や申込方法などは、申込む会社によって異なるため、事前によく確認しておきましょう。
参考までに、申込みに必要なものの例は、下記のとおりです。
<申込みに必要なもの>
申込み後に決済事業者や決済代行会社による審査が行われます。審査にかかる期間は、キャッシュレス決済サービスの種類や申込方法などによって異なります。
たとえば、一般的に、QRコード決済会社の審査は数日~10日程度、クレジットカード会社の加盟店審査は数週間~1か月程度といわれています。ただし、審査が長期化した場合は、数か月かかる可能性もあります。
審査を通過すると、決済専用端末などキャッシュレス決済を行う上で必要なものが郵送されます。端末の設置などが完了すれば、キャッシュレス決済サービスを利用できます。
利用開始までに、店舗の通信環境などを整えておきましょう。
キャッシュレス決済にはさまざまなサービスがあり、導入にあたってどれを選べばいいのか迷うことがあるかもしれません。キャッシュレス決済サービスを選ぶ際には、次のようなポイントを意識するといいでしょう。
一口にキャッシュレス決済といっても、さまざまな決済方法があります。どの決済方法が店舗に適しているかは、立地や客層、業種、商品の価格帯などによっても異なります。
たとえば、2021年に調査が行われた経済産業省の「キャッシュレス決済 実態調査アンケート 集計結果」によれば、クレジットカードは客単価3,000~50,000円未満程度の中間的な単価帯で導入率が高く、QRコード決済は客単価1,000~3,000円未満程度の低価格帯の店舗で導入率が高い傾向があります。
また、店舗が駅に近い場合は、交通系電子マネーに対応すると販売機会の拡大につながるかもしれません。周辺や同業種の店舗の導入状況などもチェックして、最適な決済方法を選ぶことをおすすめします。
キャッシュレス決済導入にあたってできるだけコストを抑えるには、サービスごとの初期費用や月額費用、手数料をしっかり比較することが大切です。キャッシュレス決済のサービスによって、かかる費用には違いがあります。
たとえば、決済事業者によっては、初期費用が無料になるキャンペーンが実施されていることもありますし、QRコード決済のユーザースキャン方式なら、店舗はQRコードを掲示するだけなので端末などの初期費用がかかりません。キャッシュレス決済の導入時には、初期費用に加えランニングコストについてもしっかり確認するようにしましょう。
複数のキャッシュレス決済サービスをまとめて導入できる決済代行会社も、扱っているサービスや導入後の対応が会社によって違います。決済代行会社を選ぶ際には、店舗が希望するサービスに対応しているかを確認するとともに、手数料、売上金入金までの期間、決済以外の機能などを比較検討しましょう。
店舗にキャッシュレス決済を導入する際、おすすめなのがドコモのd払いです。d払いは、スマートフォンのアプリを使ったQRコード決済サービスです。
ドコモの回線契約があるお客さまなら、d払いの利用にあたって特別な申込みは不要で、パスワードを入力するだけで簡単にd払いをはじめられます。利用代金をドコモのケータイ料金と合算して後払いできるという特徴があり、ドコモユーザーにとっては、非常に利便性の高い決済方法です。
また、ドコモの回線契約がないお客さまでも、dアカウントがあればd払いをはじめることができます。
d払いは、利用者だけではなく店舗にもメリットがあります。まずは、9,000万人以上のdポイントクラブ会員へのアプローチが可能になり、集客と売上アップが見込めます。費用に関しては、初期費用なしで導入することも可能です。
また、利用者の代金をドコモが立て替えて加盟店に支払うため、店舗が代金未回収リスクを負う心配がありません。さらに、d払いの決済データは売上管理ツールに記録され、店舗で随時ダウンロードが可能なため、データをマーケティング戦略に活かすことも可能です。
d払いの導入方法については、下記の記事をご覧ください。
キャッシュレス決済を導入すると、業務効率化や客単価の向上、販売機会の損失を防げるなど、店舗にはさまざまなメリットがあります。今後拡大が予想されるキャッシュレス化のニーズに対応するためにも、キャッシュレス決済の導入をご検討ください。
ドコモでは、d払いの加盟店を対象とした法人向けプラットフォーム「スーパー販促プログラム」を提供しています。スーパー販促プログラムを活用することで、集客や利用単価アップといった店舗の課題解決が可能です。新たにキャッシュレス決済の導入を検討される際は、ぜひドコモのd払いをご検討ください。
スーパー販促プログラムについては、下記のページをご覧ください。
スーパー販促プログラム
よくあるご質問
店舗がキャッシュレス決済を導入するメリットは?
キャッシュレス決済を導入すると、会計にかかる時間が短縮されてレジの混雑緩和につながる上、現金の受け渡しによるミスを防げます。また、販売機会の損失を防げたり、現金の持ち合わせがなくても買物ができるので利用者の購入ハードルが下がり、客単価の向上が期待できます。
キャッシュレス決済の導入方法は?
キャッシュレス決済を導入するには、決済事業者と直接契約する方法と、決済代行会社を利用する方法があります。直接決済事業者と契約するには、決済事業者へ個別に問い合わせをし、加盟店契約を結びます。一方、決済代行会社を利用すると、複数のキャッシュレス決済サービスをまとめて契約することができます。
キャッシュレス決済を導入する流れは?
まず導入したいキャッシュレス決済サービスを決めて、申込みを行います。申込み後に決済事業者や決済代行会社による審査が行われます。審査を通過すると、決済専用端末などキャッシュレス決済を行う上で必要なものが郵送されます。端末の設置などが完了すれば、キャッシュレス決済サービスを利用できます。
監修者プロフィール
坪谷 亮
FPサテライト株式会社 取締役 1級ファイナンシャル・プランニング技能士 / 日本FP協会 認定CFP®
大学時代にFPについて知り、22歳までにCFP®を取得。
FPや金融業界の現状を知り、お客さまとの利益相反を一度も起こしたくないという思いから、2022年にFPサテライト株式会社入社。個人、法人両方のコンサルティングを中立的な視点からサポートしている。
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