Wi-Fi 6Eはどのような通信規格?特徴やメリット、6GHz帯についても解説

通信ノウハウ

Wi-Fi 6Eは、2019年にリリースされたWi-Fi 6の基本的な機能を受け継ぎ、新たに対応周波数として「6GHz帯」が追加されたWi-Fiの通信規格です。

新たな周波数帯の利用には技術基準の制定が必要となりますが、2022年9月に電波法が改正されたことにより、日本でもWi-Fi 6Eの利用が可能となりました。

Wi-Fi 6Eが普及すれば、今後Wi-Fiを利用した通信がより快適なものになることが予想されます。本記事ではWi-Fi 6Eの特徴やメリットを解説し、活躍が期待される利用シーンを紹介します。

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記事サマリー

Wi-Fi 6Eとは?

Wi-Fi 6Eとは、Wi-Fi 6を拡張した新しいWi-Fiの通信規格です。Wi-Fi 6Eの「E」は、「Extend(拡張)」を示しています。

そして、Wi-Fi 6Eの特徴には、新しい周波数帯である「6GHz帯」が追加されたことが挙げられます。

Wi-Fiで利用できる周波数帯は、従来、2.4GHz帯と5GHz帯に限定されていました。周波数帯は、言わば「電波の道路」のようなものです。周波数帯(道路)が増えれば、それだけ多くの信号を送受信でき、高速通信が可能となります。

2022年9月に交付された「電波法施行規則等の一部を改正する省令」により、Wi-Fiでも6GHz帯の利用が可能となっています。6GHz帯が追加されたWi-Fi 6Eは、より混雑の少ない快適な通信が期待されています。

時代とともに進化するWi-Fiの通信規格

Wi-Fiの通信規格は時代とともに進化しています。Wi-Fiの通信規格と最大通信速度、利用できる周波数帯をまとめた表は以下のとおりです。

世代(リリースされた年代)規格名(名称)最大通信速度周波数帯
第1世代(1997年6月)IEEE 802.112Mbps2.4GHz帯
第2世代(1999年9月)IEEE 802.11b11Mbps2.4GHz帯
IEEE 802.11a54Mbps5GHz帯
第3世代(2003年6月)IEEE 802.11g54Mbps2.4GHz帯
第4世代(2009年9月)IEEE 802.11n(Wi-Fi 4)600Mbps2.4GHz帯、5GHz帯
第5世代(2013年12月)IEEE802.11ac(Wi-Fi 5)6.9Gbps5GHz帯
第6世代(2021年2月)IEEE 802.11ax(Wi-Fi 6、Wi-Fi 6E)9.6Gbps2.4GHz帯、5GHz帯、6GHz帯

近年では動画やオンラインゲームに利用できるWi-Fiも、リリース当初は最大通信速度2Mbpsが限度の通信規格でした。

その後、技術開発が進められ、第6世代のWi-Fi 6は最大通信速度9.6Gbps、2時間の映画を3秒でダウンロードできる高速通信が可能となっています。

2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯が利用できる

先述のように、Wi-Fi 6Eは2.4GHz帯と5GHz帯に加え、6GHz帯が利用できる点が新しいところです。

2.4GHz帯と5GHz帯、6GHz帯で選択可能な通信チャンネルをまとめると、以下のようになります。

周波数帯選択可能なチャンネル数
2.4GHz帯20MHz3チャンネル
40MHz1チャンネル
5GHz帯20MHz20チャンネル
40MHz10チャンネル
80MHz5チャンネル
160MHz2チャンネル
6GHz帯20MHz24チャンネル
40MHz12チャンネル
80MHz6チャンネル
160MHz3チャンネル

従来の2.4GHz帯と5GHz帯で選択可能なチャンネルに加え、Wi-Fi 6Eは20MHzで24チャンネル、40MHzで12チャンネルと新たな帯域のチャンネルが追加されました。

通信可能な帯域が追加されたことで、より混雑の少ない安定した通信が実現できます。

Wi-Fi 6Eのメリット

イメージ

Wi-Fi 6Eが利用できるようになると、具体的にどのようなメリットを受けられるのでしょうか。

以下では、3つのメリットをピックアップして紹介します。

高速通信のチャンネルをより多く利用できる

Wi-Fi 6Eのメリットは、高速通信が可能なチャンネルをより多く利用できる点です。

従来、高速通信が可能な160MHzの帯域幅を2.4GHzでは利用できず、5GHzで2本のチャンネルから選択できるのみでした。Wi-Fi 6Eで加わった6GHz帯は、160MHz幅のチャンネルを3本から選択可能となります。

道路で例えると、2車線であった高速道路に新たに3車線が追加されるイメージです。車線が追加されれば渋滞の解消が期待されるように、高速通信が可能なチャンネルの追加で、より高速で大容量の通信が可能となります。

通信の安定性が向上する

Wi-Fi 6Eで利用可能な6GHz帯はほかの通信機器で利用されていないため、通信の安定性が向上する点もメリットです。

たとえば2.4GHz帯は、電子レンジやテレビ、Bluetooth®などさまざまな機器で利用されています。電子干渉による混雑が起こりやすく、場合によっては通信が不安定となる状況も想定されます。

また、5GHz帯は気象レーダーや航空レーダーなどで利用されている周波数帯です。Wi-Fiルーターには「DFS(Dynamic Frequency Selection)」が搭載されていて、レーダー波を検出した際には、電波干渉を防ぐため一時的にWi-Fiを停止しなければなりません。

6GHz帯はほかの機器で利用されておらず、気象レーダーなどでも使用されていません。そのため、電波干渉や混雑の影響を受けにくく、より安定した通信が可能です。

Wi-Fi 6の便利な機能を利用できる

Wi-Fi 6の拡張版であるWi-Fi 6Eは、Wi-Fi 6の便利な機能を継承しています。具体的には以下の機能です。

機能の名称内容
OFDMA・直交周波数分割多元接続のこと
・1通信で複数のデバイスと通信可能で、安定した通信ができる
MU-MIMO・空間の多重により同時通信を可能とする機能
・ビームフォーミング対応デバイスに集中的にWi-Fiの電波を届けられる
ワイドバンド・80MHzの帯域を束ねて160MHzへ拡大する機能
・より高速な通信が可能となる
TWT・「Target Wake Time」の略称
・通信待ちのデバイスをスリーブ状態にし、省エネを可能とする

Wi-Fi 6EはWi-Fi 6の利便性はそのままに、よりインターネットを利用しやすくする通信規格と言えるでしょう。

Wi-Fi 6Eの利用シーン

Wi-Fi 6Eは従来の規格と比較し、高速で安定した通信が期待される通信規格です。ご家庭での快適なインターネット利用に貢献するほか、特に、以下のシーンでの活躍が見込まれています。

  • AR、VR
  • UHD ビデオストリーム/ マルチキャスト
  • メッシュWi-Fi環境の構築

各利用シーンの詳しい内容を解説します。

AR、VR

Wi-Fi 6Eは、AR(Augmented Reality)やVR(Virtual Reality)の利用に有効です。

名称内容
AR・Augmented Realityの略称。拡張現実とも呼ばれる
・現実世界に映像や文字などのデジタル情報を重ね合わせて表示する技術
VR・Virtual Realityの略称。仮想現実とも呼ばれる
・CGなどでその場所にいるような感覚を味わえる技術

ARやVRを活用したコンテンツではユーザーによりリアリティを感じてもらうため、画像データなどを遅延なく通信する必要があります。高速通信かつ低遅延を実現できるWi-Fi 6Eは、ARやVRの活用に適した通信規格です。

UHD ビデオストリーム/ マルチキャスト

Wi-Fi 6Eの短距離区間での高速データ転送は、UHD ビデオストリーム/ マルチキャストでも有効です。

たとえば、4Kや8Kの高画質画像は比較的大容量の通信が必要ですが、Wi-Fi 6Eなら、高画質画像のストリーミング再生も低遅延で楽しめます。また、高画質画像を複数のスクリーンにマルチキャストする際にも有用です。

メッシュWi-Fi環境の構築

Wi-Fi 6Eは従来の周波数帯に6GHz帯が加わるため、メッシュWi-Fi環境を構築する際も柔軟にアクセスポイントを設置しやすいメリットが挙げられます。

メッシュWi-Fiとは、ネットワーク機器を網の目(メッシュ)のように複数設置し、Wi-Fi環境を構築する通信形態です。Wi-Fiの電波を届けられるエリアを拡大できるメリットがある一方、ネットワーク機器を複数設置することによる電波干渉が課題に挙げられていました。

Wi-Fi 6Eは6GHz帯の追加により、高速通信が可能な160MHz幅のチャンネルが2チャンネル→5チャンネルと増えます。機器がそれぞれに干渉しないチャネルを選択できるため、メッシュWi-Fi環境の構築に役立ちます。

Wi-Fi 6Eはより快適なインターネットが利用できる

Wi-Fi 6Eはより高速で安定した通信が期待される通信規格です。一方、新しい規格のため、対応するデバイスやルーターはまだ少ない状態です。

Wi-Fiの業界団体であるWi-Fi Allianceは、 2024年にはWi-Fi 6E対応デバイスの世界出荷台数が約15億台になると予想し、今後の普及を見込んでいます。

たとえば、スマホを次に機種変更するときはWi-Fi 6E対応のデバイスにするなど、将来的な活用を見越した対応をしておくと良いでしょう。

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