黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2024年7月29日
キャッシュレス
クレジットカード決済を導入すると、決済時に所定の手数料がかかります。また、クレジットカードを利用するお客さまも、支払い方法などによって手数料がかかることがあります。クレジットカードを導入する際には、必要な手数料をしっかりと確認すると同時に、お客さまと店舗の手数料の違いについても把握しておくことが大切です。特に、店舗が負担する手数料を理解しないままクレジットカード決済を導入すると、将来的な資金繰りにも影響を及ぼす可能性があるため注意が必要です。
ここでは、クレジットカード決済時にお客さまと店舗のそれぞれにかかる手数料や、クレジットカード決済を導入するメリット、クレジットカード決済導入にあたっての注意点などを解説します。
クレジットカード決済とは、商品やサービスなどの支払いにクレジットカードを利用する決済方法のことです。クレジットカード決済は、実店舗やオンラインショップ、公共料金の支払いなど利用できるシーンも幅広く、国内で最も多く利用されているキャッシュレス決済です。
クレジットカード決済は、基本的に、利用者であるお客さま、加盟店である店舗、クレジットカード会社の3者によって成り立っています。お客さまがクレジットカード決済で商品などを購入すると、クレジットカード会社から店舗へ立替払いする形で利用代金が入金されますが、この時に所定の決済手数料が差し引かれます。その後、クレジットカード会社からお客さまへ請求が行われ、お客さまはクレジットカード会社へ利用代金を支払う、という流れです。
クレジットカード決済については、下記の記事をご覧ください。
クレジットカードを利用するお客さまに手数料がかかるかどうかは、支払い方法や利用方法によって異なります。
ショッピング利用で手数料がかかるのは、基本的に、3回以上の分割払いやリボルビング払い(リボ払い)にした場合です。手数料率はクレジットカード会社やクレジットカードの種類によって定められており、支払いの回数が増えるほど、手数料の総額も大きくなります。1回払い(一括払い)や2回払い、ボーナス1回払いには手数料はかかりません。ただし、店舗によっては2回払いに対応していないことがあります。
また、クレジットカード会社によっては、1回払いの支払い時期を所定の範囲で先送りできる「据え置き払い(スキップ払い)」が可能なケースもあります。据え置き払いの支払い回数は1回ですが、1回払いとは異なり、先送りした期間に応じて手数料が発生することに注意が必要です。そのほか、海外でクレジットカード決済をすると「マークアップフィー」と呼ばれる事務手数料が発生します。
一方、キャッシング利用の場合は、支払い(返済)回数にかかわらず、所定の金利手数料が発生します。たとえ1回払い(一括返済)でも、金利手数料を支払う必要があるため注意が必要です。
なお、ショッピングやキャッシング利用時以外にも、費用がかかる場合があります。たとえば、手数料ではありませんが、年会費が必要なクレジットカードもあります。また、クレジットカードの紛失や盗難により再発行をすると、再発行手数料がかかるケースもあることを覚えておきましょう。
クレジットカード決済を導入する店舗は、お客さまがクレジットカード決済をするたびに、クレジットカード会社に決済手数料を支払わなければなりません。決済手数料の手数料率は「決済額の◯%」というように、店舗とクレジットカード会社との個別契約によって定められます。
手数料率は、クレジットカード会社や加盟店の業種、店舗規模、商材の価格帯などによっても異なるため、一概にはいえませんが、経済産業省が2021年に実施した「キャッシュレス決済実態調査アンケート」によると、クレジットカード決済の決済手数料率は、利用料金の3%台前半が39%、3%台後半が21%となっており、3%台が過半数を占めています。なお、飲食店の場合、決済手数料率は3.5%~7%程度と幅があります。
一般的には、店舗規模が大きく商品価格が少額であるほど、クレジットカード会社にとってはリスクが低いと判断され、決済手数料率が低くなる傾向にあります。そのため、たとえば、個人経営の店舗よりも全国チェーンのコンビニエンスストアの方が、決済手数料率の相場は低くなるのです。
クレジットカード決済の導入を検討している店舗にとっては、決済手数料の負担が発生することはデメリットと捉えられるかもしれません。しかし、クレジットカード決済を導入すると、さまざまなメリットが期待できます。クレジットカード決済の導入による主なメリットを、下記にご紹介しましょう。
クレジットカード決済を導入することで、幅広い消費者ニーズに対応できるようになり、販売の機会損失を防ぐことができます。クレジットカード決済は、国内で最も多く利用されているキャッシュレス決済です。近年では、キャッシュレス決済を利用するお客さまが急激に増加しており「現金のやりとりはわずらわしい」「ポイントがたまるからクレジットカードで支払いたい」と考える人も多いでしょう。積極的にキャッシュレス決済を利用したいと考えている人にとっては、現金払いにしか対応していない店舗は、利用したいと思う優先度が低くなってしまうかもしれません。
クレジットカード決済を導入するメリットは、売上拡大につながる可能性があることです。クレジットカード決済を利用できる店舗なら、お客さまは手持ちの現金を気にせずにお買物ができます。また、クレジットカードは後払いになる上、都合に合わせて支払い方法を選ぶこともできるので、高額商品も購入しやすくなり客単価の向上が期待できます。さらに、クレジットカードは海外でも広くつかわれているため、海外からのお客さまのインバウンド需要にも対応しやすいといえるでしょう。
クレジットカード決済は、業務効率化が実現できることもメリットのひとつです。クレジットカード決済を導入すると現金のやりとりが少なくなるため、会計時のレジの混雑緩和やレジ業務の効率化につながります。さらに、釣銭の準備やレジ締め後の集計にかかる手間も少なくなり、精算ミスなどのリスクも軽減されます。レジに置く現金が少なくなれば、不正や盗難のリスクを抑えることもできるでしょう。
クレジットカード決済の導入は、代金未回収リスクの軽減にもつながります。特にECサイトで銀行振込の場合、代金未回収リスクが発生する上、注文ごとに入金確認を行わなければなりません。しかし、クレジットカード決済なら、利用代金はカード会社が立て替えて店舗に支払い、お客さまへの請求はクレジットカード会社が行います。
クレジットカード決済の導入にはメリットもありますが、一方で、知っておきたい注意点もあります。店舗にクレジットカード決済を導入する際には、以下の注意点についてもしっかり確認しておきましょう。
クレジットカード決済を導入する際は、手数料以外にも費用が発生します。「クレジットカード決済導入によってかかる費用」というと、決済手数料にばかり目が向きがちです。しかし、決済手数料以外にも決済端末を設置するための初期費用が発生することに注意しましょう。
また、クレジットカード決済を導入する際、クレジットカード会社と直接契約する方法と決済代行会社を利用する方法があります。決済代行会社を利用すると、複数のクレジットカードブランドとの契約を一括で行えて手間を省ける分、直接契約よりもコストが多くかかる可能性があります。決済代行会社によっては、初期費用や月額費用などがかかる場合があるため、事前に費用についてしっかりと確認しておくことが大切です。
日本では、店舗が負担すべき決済手数料相当額をお客さまに請求することは規約違反です。クレジットカードの決済手数料の負担を軽減するために、手数料分の金額を商品やサービスに上乗せしてはいけません。決済手数料は店舗の経費として負担する必要があるため、クレジットカード決済導入後の資金繰りについてもしっかり考えておきましょう。
キャッシュレス決済に対する消費者ニーズは、近年さらに高まりを見せています。特にクレジットカード決済は、キャッシュレス決済のなかで最も多く利用されているため、導入を検討している店舗も多いでしょう。ただし、クレジットカード決済を導入すると、決済手数料のほか、決済端末設置のための初期費用などが発生します。「導入費用を抑えつつキャッシュレス化のニーズに対応したい」という場合は、利用者が拡大傾向にあるQRコード決済も併せて検討するのもひとつの方法です。
新たにQRコード決済を導入するなら、d払いがおすすめです。d払いの決済手数料は、メルペイとの共通QRコードの場合2.6%で、月額費用も無料です。専用端末が不要なユーザースキャン方式なら、初期費用もかかりません。
さらに、ドコモではd払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策ができるようになります。
新たにキャッシュレス決済の導入をお考えの場合は、ぜひ、ドコモのd払いをご検討ください。
d払いの決済手数料については、下記の記事をご覧ください。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
クレジットカード決済の手数料は誰が支払うのですか?
利用者と店舗の双方が支払います。利用者の場合は、分割払いやリボルビング払いを利用した際に発生します。店舗の場合は、利用者がクレジットカード決済をするたびにクレジットカード会社に対して手数料が発生します。
クレジットカード決済の店舗側の手数料はいくらくらいですか?
業種や店舗規模により違いはありますが、3%台前半が39%、3%台後半が21%で、3%台が過半数を占めています。飲食店の場合は、3.5%~7%と幅があります。
クレジットカード手数料を店舗が支払うのは、なぜですか?
クレジットカード決済では、お客様がクレジットカード決済をするとカード会社が店舗に立て替え払いをしますが、その際、手数料が発生します。店舗は手数料を支払う代わりに、販売の機会損失を防ぎ売上拡大が期待できます。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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