黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
2022年12月22日(最終更新日:2024年3月26日)
キャッシュレス
QRコード決済
スマホ決済
経営ノウハウ
個人事業主
近年、キャッシュレス決済が急速に普及しています。これまで主流だったクレジットカードに加えて、電子マネーやQRコード決済など、決済方法が多様化していることも大きな特徴です。
本記事では、キャッシュレス決済に対応するための基礎知識や、POSレジと併せて決済端末を導入するメリット、費用相場などを解説します。デジタル化によって店舗経営を効率化しながら、変化する消費者のニーズに応えていきましょう。
キャッシュレス決済端末とは、クレジットカードや電子マネーといった現金以外の支払い方法に対応する決済端末のことです。
経済産業省が、2025年までにキャッシュレス決済比率を4割程度まで増やすことを目標に掲げるなど、国を挙げてキャッシュレス決済を推進しています。
キャッシュレス決済の導入は、店舗側とユーザー側の双方にメリットがあります。具体的なメリットは下記のとおりです。それぞれのメリットを見てみましょう。
・1. 会計のスピードが速くなる
・2. 新型コロナウイルスなどの感染拡大防止につながる
・3. 集客効果が期待できる
・4. インバウンド顧客の決済ニーズに対応できる
・5. POSシステムとの連携でさまざまなデータを蓄積できる
キャッシュレス決済は現金のやりとりがないため、その分会計のスピードが速くなります。店舗側は作業負担が軽減され、顧客側は会計スピードが速くなることで待ち時間が減るというメリットがあります。
キャッシュレス決済は非接触の決済が可能なので、新型コロナウイルスなどの感染拡大防止策としても注目されています。
また、キャッシュレス決済端末を導入する店舗に対して、経済産業省からも補助金が出ています。各自治体が独自の補助金制度で端末導入費用を補助するケースもあるため、補助金制度が終了する前に、なるべく早く導入することをおすすめします。
キャッシュレス決済の導入に活用できる補助金については、下記のページをご覧ください。
集客効果が期待できることもキャッシュレス決済の導入のメリットです。キャッシュレス決済の普及によって、現金を持ち歩かない人も増えています。なかにはキャッシュレス決済に対応していることを店舗選定の基準にする消費者もいるため、さまざまな種類の決済方法に対応することは、新規顧客の取り逃し防止につながります。
キャッシュレス決済サービスを展開している事業者がポイント還元などのキャンペーンを実施していれば、それに合わせて店舗側も訴求を行うことで、さらなる集客効果が期待できます。
キャッシュレス決済の導入は、インバウンド顧客の決済ニーズに対応できることもメリットといえます。外国人観光客をターゲットとしたインバウンド需要は、アフターコロナに向かい、回復傾向にあります。
外国人旅行客はクレジットカード決済を利用するケースが多いため、特にインバウンド顧客が多い地域で店舗を運営している場合は、クレジットカード決済への対応が不可欠といえます。
キャッシュレス決済端末は、POSシステムと連携できます。「POSレジ」をはじめとしたPOSシステムとは販売管理機能を持つシステムのことで、「いつ」「どのような顧客に」「何が売れたか」というリアルタイムの売上情報のほか、在庫管理や顧客管理など、店舗経営に必要なあらゆるデータを電子化できます。
POSシステムに蓄積されたデータは、販売戦略の立案やプロモーションといったマーケティング施策にも効果的です。
キャッシュレス決済端末とPOSシステムが一体化した商品も存在し、キャッシュレス決済端末の導入と同時にPOSシステムの運用を開始する店舗もあります。
キャッシュレス決済端末には、大きくわけて次の2種類があります。それぞれの違いを見てみましょう。
据え置き型は、レジ付近に端末を設置し、有線で接続するキャッシュレス決済端末です。対応できるキャッシュレス決済の種類が多く、POSレジなどの周辺機器とも連携しやすいという特徴があります。
Wi-Fiで接続して持ち運びができる、ポータブル型のキャッシュレス決済端末もあります。据え置き型に比べて機能が限られる場合がありますが、インターネットに接続していればテーブル会計や屋外イベントにも対応できるため、場所を問わず決済したい場合におすすめです。
キャッシュレス決済端末を導入するには、まずはキャッシュレス決済の契約が必要です。決済端末が据え置き型であってもポータブル型であっても、導入手順は変わりません。
ここからは、一般的なキャッシュレス決済端末の導入手順について解説します。
キャッシュレス決済の契約には、決済事業者と直接契約する方法と、決済代行会社を通して決済事業者と契約する方法の2通りがあります。契約をする前に、それぞれの違いを確認しておきましょう。
・直接契約
決済事業者に連絡をし、加盟申請をしてキャッシュレス決済を契約する方法が直接契約です。直接契約なので、仲介業者を挟むよりも手数料は割安になることが多いですが、契約したいキャッシュレス決済サービスごとに、個別の申請手続きが必要なため手間がかかります。
・決済代行会社
決済代行会社を利用して、キャッシュレス決済の契約をする方法もあります。複数のキャッシュレス決済サービスの契約を検討している場合は、まとめて一括で契約、管理を行うことができるため、直接契約に比べて、手続きや管理にかかる時間や手間を大幅に削減できるのが魅力です。その分、直接契約に比べて手数料は高くなる場合があります。
手数料は決済代行会社によって異なり、業種や事業規模などによっても変わるため、検討する際は各社から見積もりをとることをおすすめします。
キャッシュレス決済の導入の申込み方法や必要書類は、決済事業者やサービスの種類によって異なります。一般的には、インターネットや書面などで申込みを行うことが多いですが、手続き方法や必要書類については、あらかじめ確認しておきましょう。
申込みに必要なものの例としては、下記のようなものがあります。
<キャッシュレス決済の申込みに必要なもの>
・代表者の本人確認書類
・住所確認書類
・登記簿謄本
・法人番号
・開業届
・業種に必要な資格や証明書
・店舗の写真
・売上金の振込先口座 など
キャッシュレス決済の契約申込み後に、決済事業者や決済代行会社による審査があります。審査期間はキャッシュレス決済サービスの種類や申込方法などによってさまざまです。
たとえば、一般的にQRコード決済会社の審査は、数日~10日程度、クレジットカード会社の加盟店審査は数週間~1か月程度といわれています。ただし、審査が長期化した場合は数か月かかるケースもあるため、早めに準備を進めておきましょう。
審査を通過すると、決済事業者からキャッシュレス決済に必要な決済端末などが届きます。同梱のマニュアルや説明書に従って設置を行いましょう。
決済端末の設置が完了すれば、キャッシュレス決済サービスを利用開始できます。
一口にキャッシュレス決済端末といっても、機能や価格帯はさまざまです。ここでご紹介する選び方を参考に、事業規模や目的に合ったものを検討しましょう。
決済方法によってキャッシュレス決済端末を選びたい場合は、決済方法の特徴を把握した上で、対応する決済端末を選ぶ必要があります。キャッシュレス決済端末は、すべてのキャッシュレス決済に対応できるわけではありません。サービスによって対応できる決済方法が異なるので、注意して選びましょう。
また、キャッシュレス決済方法にもさまざまな種類があります。
経済産業省の調査によると、キャッシュレス決済比率の内訳はクレジットカードが圧倒的に多い状況です。ただしデビットカードや電子マネー、QRコードといったクレジットカード以外の決済手段の比率も徐々に増えています。クレジットカード以外の決済手段は比較的新しく、各社がポイント還元キャンペーンなどを積極的に行っていることから、今後さらに利用者が増えていくことが予想されます。
クレジットカード以外にも幅広い決済の選択肢を用意することで、集客効果が高まるでしょう。
予算によってキャッシュレス決済端末を選びたい場合は、各社の料金表を比較して選びましょう。キャッシュレス決済端末にかかる主な費用は、初期費用と月々の利用料、もしくは手数料です。
初期費用無料ではじめられるキャッシュレス決済端末もあります。ただし、初期費用が無料でも、月々の利用料や手数料が割高なサービスもあるので注意が必要です。キャッシュレス決済端末は、一度導入したら長期的につかい続けることになるため、初期費用とランニングコストのバランスを見て選ぶことが大切です。
決済端末を店内で持ち運びたい場合は、ポータブル型の決済端末が便利です。ポータブル型の決済端末は、場所を選ばずにどこでもキャッシュレス決済が可能という特徴があります。
飲食店などでテーブル会計を行いたいといった場合のほか、イベントの出店時や屋外での会計時にも使用されます。
ほかのシステムとの互換性で選びたい場合はPOSレジが一体化した端末を選ぶことがおすすめです。キャッシュレス決済端末は、POSレジやプリンター、すでに利用している販売管理システムなどとの連携が可能です。ただし、サービスの種類によっては連携できないものもあるため、ほかのシステムとの互換性もキャッシュレス決済端末を選ぶ際の重要なポイントといえます。
最も確実なのは、キャッシュレス決済端末とPOSレジが一体化した端末を選ぶことです。一体化タイプの端末なら互換性の心配がなく、売上や顧客データ、在庫データといった、店舗経営に必要なあらゆるデータを集約できます。
次章で、キャッシュレス決済端末とPOSレジを併せて導入するメリットを、もう少し詳しく見ていきましょう。
PPOSレジのPOSは「Points of Sale(販売時点情報管理)」の略で、店舗経営のあらゆるデータをデジタルデータとして記録できます。キャッシュレス決済端末とPOSレジを併せて導入するメリットは、下記の3つです。それぞれのメリットについて見てみましょう。
・1. 店舗経営に必要なデータをPOSレジに集約できる
・2. 会計にかかる時間を短縮できる
・3. 決済システム関連の契約先が一本化できる
キャッシュレス決済端末とPOSレジを併用すると、「誰に」「いつ」「何」が売れたかといったリアルタイムの売上情報や顧客情報、在庫に関する情報など、店舗経営に必要なあらゆるデータをPOSレジに集約できます。
蓄積されたデータは店舗経営の改善に活かせるだけでなく、集客やキャンペーンといったマーケティング施策にも役立ちます。
売上や在庫のデータをそれぞれ別のシステムで管理している場合は、POSレジにすべてのデータを集約することで、システム費用の節約や業務効率化も実現できるでしょう。
キャッシュレス決済端末とPOSレジを併用するメリットのひとつに、会計にかかる時間を短縮できることが挙げられます。キャッシュレス決済端末を導入すると、現金に比べて会計にかかる時間を短縮できます。しかし、既存のレジと連携がうまくいかない場合があるので注意が必要です。場合によっては各端末で二重の操作が必要になり、かえって時間がかかってしまうこともあります。
その点、POSレジと一体型のキャッシュレス決済端末なら、決済がスムーズに進むでしょう。
決済システム関連の契約先が一本化できることも、キャッシュレス決済端末とPOSレシを併用するメリットです。店舗によっては、複数の決済システムを導入しているところもあるでしょう。その状態で決済システムに何らかのトラブルが起こると、どの端末で不具合が起きているのかがわからないことがあります。
その結果、決済端末メーカーとレジメーカーの両方に問い合わせることになり、解決までに時間がかかってしまうでしょう。
キャッシュレス決済端末が付いたPOSレジを導入すれば、決済システム関連の契約先を一本化でき、トラブル対応などがスムーズになることが期待できます。
また、月額料金などの支払い先も集約され、手続きがシンプルになることもメリットです。
キャッシュレス決済機能付POSレジの初期費用は、0~50万円程度とかなり幅があります。初期費用が高いものほど機能が優れているとは限らないため、各社の商品ページをよく読み、サービス内容を比較してみましょう。
月額費用は0~12,000円程度が一般的で、0円の場合は決算のたびにかかる手数料が高額になっているものもあります。決済手数料は決済回数に応じて増えていくため、店舗の現状を見ながらシミュレーションを行い、各費用のバランスを考えることが大切です。
キャッシュレス決済への対応は、今後拡大が見込まれるQRコードや電子マネーといった新しい決済方法に対応するためだけでなく、インバウンド需要を獲得するためにも欠かせません。
キャッシュレス決済端末を単体で導入する方法もありますが、長期的な目線で店舗運営の効率化や売上拡大を考えると、POSレジを導入して店舗運営をデジタル化するのも選択肢のひとつです。
POSレジと一体化したキャッシュレス決済端末を導入すれば、店舗運営をデジタル化できるだけでなく、契約先がひとつになって管理がしやすくなるというメリットもあります。決済や店舗管理に複数のシステムを使用している場合は、POSレジに集約することでランニングコストの節約効果も期待できます。導入を検討する際は各社のサービス内容をよく比較し、費用や機能、操作性など、あらゆる視点から総合的に判断することが必要です。
一方で、キャッシュレス決済の導入において、決済端末のコスト面が気になる場合は、QRコード決済の「ユーザースキャン方式」を検討することもひとつの方法です。
ユーザースキャン方式は、利用者が自分のスマートフォンで店舗側が掲示しているQRコードを読み取る決済方法のことで、店舗側は決済端末費用等の初期費用が発生しません。
ドコモのQRコード決済であるd払いなら、9,000万人を超えるdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップが見込めるでしょう。
さらに、ドコモでは、d払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策ができるようになります。
キャッシュレス決済を新たに導入する際には、ぜひドコモのd払いをご検討ください。
スマートフォンからでもダウンロードいただけます
よくあるご質問
キャッシュレス決済端末にはどんな種類がありますか?
キャッシュレス決済端末には、「据え置き型」と「ポータブル型」の2種類があります。据え置き型は、レジ付近に端末を設置し、有線で接続するキャッシュレス決済端末です。ポータブル型は、インターネットに接続していればテーブル会計や屋外イベントにも対応できるため、場所を問わず決済したい場合におすすめの決済端末です。
キャッシュレス決済端末とは何ですか?
キャッシュレス決済端末とは、クレジットカードや電子マネーといった現金以外の支払い方法に対応する決済端末のことです。キャッシュレス決済の導入は、店舗側とユーザー側の双方にメリットがあり、経済産業省もキャッシュレス決済を推進しています。
キャッシュレス決済端末の選び方のポイントは?
キャッシュレス決済端末といっても、機能や価格帯はさまざまです。長期的に使い続けることになるため、初期費用とランニングコストのバランスを見て選ぶことが大切です。対応可能な決済方法で選んだり、ほかのシステムとの互換性を見て選ぶのもよいでしょう。
監修者プロフィール
黒川 一美
日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。
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