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2024年3月26日

居酒屋を開業するために必要な準備とは?資格や資金、手続きを解説

個人事業主

店舗開業

飲食業に興味を持っている人のなかには、「独立して居酒屋を開業したい」と考えるケースもあるでしょう。居酒屋を開業するには、資格や資金、許認可手続きなど、さまざまな準備が必要です。
特に居酒屋は、「お酒を提供する」「夜遅くまで営業する」という、ほかの飲食店とは違う特徴があるため、準備段階から注意が必要です。

ここでは、居酒屋を開業するまでに必要な準備のほか、居酒屋の開業で成功するためのポイントなどについても解説します。

居酒屋開業の準備

居酒屋を開業するには一般的に、1年ほどの準備期間がかかるといわれています。この準備期間に行うことは、コンセプトや事業計画書の作成、物件探し、資金調達、資格取得など多岐にわたります。
まず、下の図で開業までの全体的な流れをつかんでから、一つひとつの準備について詳しく見ていきましょう。

1. コンセプトの設計・事業計画書の作成

居酒屋を開業すると決めたら、まず「どのような居酒屋にしたいか」というコンセプトを決めます。一口に居酒屋といっても、安くて手軽な大衆居酒屋から、さっと気軽に寄れる立ち飲み居酒屋、料理にもこだわった創作居酒屋、落ち着いて会話を楽しめる個室居酒屋など、コンセプトは多種多様です。
コンセプトの設計は、物件選びや資金計画にも影響しますし、コンセプトがしっかりしていないと開業してからも迷走してしまうことが少なくありません。居酒屋の開業準備の第一歩として、店舗の軸となる考えや方向性をしっかりと決めておくことが大切です。

コンセプトを考えるときには、「5W2H」の手法が役立ちます。5W2Hとは、「When(いつ)」「Where(どこで)」「Who(誰に)」「What(何を)」「Why(なぜ)」の5Wと、「How(どのように)」「How much(いくらで)」の2Hの要素から情報を整理するフレームワークです。
たとえば次のように、自分の目指したい居酒屋を5W2Hで考えてみましょう。

<居酒屋のコンセプト設計例>

  • When(いつ):17時から22時まで
  • Where(どこで):◯◯駅へ続くメインストリート沿いにある
  • Who(誰に):ビール好きな30~50代をメインターゲット
  • What(何を):クラフトビールをメインに、ビールに合う食事を提供
  • Why(なぜ):クラフトビールのおいしさを広めたい
  • How much(いくらで):客単価3,000円程度
  • How(どのように)カウンター席で立ち飲みスタイルで10坪程度の広さ、専用容器による量り売りも行う

コンセプトが固まったら、それを事業計画書に落とし込みます。事業計画書とは、事業をどのように運営し、どうやって収益を上げていくのかをまとめたもので、融資を受ける際に必須となる書類です。
事業計画書を作成するときには、仕入れや見込み客数、コストなども踏まえ、現実性の高い事業計画を立てることが大切です。たとえ融資を受ける予定がなくても、事業計画書を作成することで、コンセプトが実現可能かどうかを確認することができます。融資の有無にかかわらず、初期投資額や将来の収支を数値として想定するために作成してみることをおすすめします。
事業計画書は、日本政策金融公庫の「各書式ダウンロード」のページで、「創業計画書」としてテンプレートがありますので参考にしてみてください。

2. 物件選び

コンセプトの設計や事業計画書の作成と並行して、物件選びも進めることが一般的です。店舗の立地や広さは、居酒屋を経営する上で重要なポイントになります。

コンセプトやターゲットによっても、選ぶべき物件の条件は変わってきます。たとえば、「回転率を重視した低価格の店にしたい」「会社帰りのビジネスパーソンがターゲット」というような場合は、繁華街や駅の近くなどがいいでしょう。
一方、「こだわりの料理とサービスで勝負する」というのなら、多少不便な場所でも問題ないかもしれません。立地条件がよいほど店舗の賃料も高くなるので、バランスを考えて物件を探すことが大切です。

気になるエリアが見つかったら実際に足を運び、自分の目で競合店の状況や人の流れをチェックしておくのがおすすめです。
格安な物件であっても、内装工事費用まで含めると高額な費用がかかるケースもあるため、注意が必要です。店舗候補の目星がついた段階で、施工業者と物件見学を行えば、希望する内装工事が可能か、予算感はどのくらいかがわかります。

3. 資金調達

開業準備のなかでも重要度が高いのが、資金調達です。居酒屋を開業するには、物件取得費用(敷金、礼金、仲介手数料、火災保険料、前払い家賃など)や厨房機器、内外装費、看板、備品(家具、食器、調理器具、ユニフォームなど)といった初期費用がかかります。
また、開業後は店舗の家賃や水道光熱費、材料の仕入れ代、人件費などの運転資金がかかります。

日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業資金(全業種)の平均は1,027万円、中央値は550万円となっています。
居酒屋開業にかかる費用は、店舗の規模や業態によっても異なりますが、居酒屋を含む飲食店の開業資金内訳の例としては下記のとおりです。

■居酒屋を含む飲食店の開業資金内訳の例

内外装費 370万円
不動産賃貸 190万円
設備購入 180万円
運転資金 150万円
その他 110万円
合計 1,000万円


また、開業後は、たとえ思うように売上が上がらなくても、家賃や仕入れ、人件費などの費用が発生するため、開業時には初期費用に加えて、6か月分程度の運転資金を用意しておくとあんしんです。

4. 内装工事

内装工事を任せる施工業者を選定し、工事を行います。その際、工事をはじめる前に保健所に事前相談を行うことが大切です。
居酒屋を開業するにはさまざまな許認可申請が必要になりますが、なかでも必須なのが飲食店の「営業許可申請」です。

営業許可を受けるには、店舗の設備や構造が定められた条件を満たしていなければなりません。工事を行った後、条件に合わなかったことが判明した場合、設計や工事のやり直しになるケースもあります。営業許可には細かい基準が設けられているため、管轄の保健所に図面を持っていき、内装工事を進めても問題ないかを確認することをおすすめします。

5. メニュー開発

お酒や食べ物のメニューは、居酒屋にとって「商品」になるものです。いくら店舗の雰囲気がよくても、メニューが悪ければ来店客は集まりません。はじめに考えたコンセプトや事業計画を踏まえ、仕入れの予算や提供価格、ターゲット層のニーズなども考慮した上でメニュー開発を進めましょう。

居酒屋のメニューで利益を出しやすいのはアルコール類で、なかでもチューハイ類は利益率が高いため、コンセプトに合わせてメニューに取り入れるといいでしょう。フードメニューについても、スピーディーに提供できるおつまみや大人数でシェアしやすいメニューなど、居酒屋ならではの工夫が必要です。

6. 資格取得

居酒屋の開業には、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つの資格が必要です。これらの資格は、いずれも講習を受ければ取得できます。経営者が自ら取得するほか、従業員のなかから選任してもかまいません。
ただ、まだスタッフのいない開業準備段階では、自分で取得するほうがスムーズといえます。開店前は何かと忙しくなるため、物件が決まったら早めに取得しておくことをおすすめします。

・食品衛生責任者
食品衛生責任者は、食品関係施設において製造・調理・販売等が衛生的に行われるように自主管理を行う責任者のことです。居酒屋1店舗につき必ず1人以上の食品衛生責任者が必要です。同じ人が複数店舗の食品衛生責任者になることはできません。
食品衛生責任者の資格は、各都道府県で開催されている養成講習会を修了することで取得できます。なお、調理師や栄養士の資格を持っている人は講習会の受講は不要となり、申請のみで資格取得が可能です。

・防火管理者
防火管理者は、多くの人が利用する建物などの火災等による被害を防止するため、防火管理に係る消防計画を作成し、防火管理上必要な業務を計画的に行う責任者のことです。居酒屋の場合、店内の客席数と従業員数の合計が30人以上であれば、防火管理者が必要です。開業時は30人以下であっても、いずれ大型店舗をめざすのであれば、今のうちに取得をしておきましょう。
防火管理者になるには、消防署などで開催される防火管理講習を受講する必要があります。

7. スタッフ採用

居酒屋に必要なスタッフの数は、店舗の規模によって異なります。カウンターだけの小さな居酒屋であれば、調理スタッフとホールスタッフのみでも対応可能かもしれません。一方、テーブル数が多かったり客席がすべて個室だったりする場合は、スタッフもそれなりの人数をそろえる必要性が高くなります。
スタッフ採用においては、求人を出してすぐ決まるとは限りません。研修期間なども考慮し、開店日の1~2か月くらい前から募集をはじめるとあんしんです。

8. 設備・備品購入

居酒屋で使用する設備や備品、消耗品などを準備します。具体的には、厨房設備や調理器具、テーブル、椅子、食器、おしぼり、ユニフォーム、ロッカー、パソコン、レジなどが挙げられます。内装工事の段階で用意が必要なものがあるかどうか、あらかじめ施工業者に確認しておくことをおすすめします。
また、開業費用を抑えたい場合は、中古の厨房機器を購入したり、リースを利用したりする方法を考えておくといいでしょう。

9. キャッシュレス決済の導入

開店後の開店作業の効率化や顧客満足度の向上を狙うなら、キャッシュレス決済の導入準備も進めておきましょう。居酒屋の場合、キャッシュレス決済と連動してセルフオーダーシステムを取り入れれば、接客対応の省人化にもつながります。
また、POSレジを導入すれば、簡単に会計ができることに加えて、売れ筋メニューや時間帯・曜日別の顧客分析など、売上傾向の分析にも役立ちます。

キャッシュレス決済には、クレジットカードや電子マネー、コード決済など、さまざまな種類があります。ターゲットとする層のニーズも踏まえて、導入するキャッシュレス決済を選びましょう。

10. 広告宣伝

居酒屋のオープン日が決まったら、WebサイトやSNS、チラシ、ポスターなどで告知を行いましょう。特に今は、インターネットで居酒屋を探す人も多いため、ターゲット層を意識したWebサイトやSNSの開設は必要不可欠といえます。検索したときに店舗情報が検索結果ページに掲載されるように、口コミサイトへの登録も忘れずに行うといいでしょう。

地域密着型の居酒屋をめざす場合は、地元情報紙などへの出稿や、ポスティングなども効果的です。割引メニューやドリンクサービス、クーポン配布などの、オープニングキャンペーンを展開するのもひとつの方法です。

11. 各種手続きや届け出

居酒屋の開業には、さまざまな許認可申請手続きが必要になります。たとえば、前述した「営業許可申請」のほかにも、深夜12時以降に営業する居酒屋は「深夜における酒類提供飲食店営業開始届出書」が求められます。
また、個人事業の開業届や、従業員を雇う場合の社会保険・労働保険の手続きなど、業種を問わず行わなければならない手続きもあります。

居酒屋開業で行う主な手続きは、下記の表のとおりです。それぞれ届け出先や提出時期が異なるので、必要な提出書類については、所轄の保健所や消防署、警察署、税務署などの各届け出先に確認をして、漏れのないように手続きを行いましょう。

■飲食店開業に必要な主な届け出・許可申請

届け出名 届け出先 対象 提出の目安
営業許可申請 保健所 一般的な飲食店 開業予定の2~3週間ほど前まで(申請から検査が行われるまでに2週間程度かかるため)
防火・防災管理者選任(解任)届出書 消防署 収容人数が30人を超える店舗 営業開始まで
防火対象物使用開始届出書 消防署 建物や建物の一部を新たに使用しはじめる場合 使用開始7日前まで
火を使用する設備等の設置(変更)届出書 消防署 火を使用する設備を設置する場合 設備設置7日前まで
深夜における酒類提供飲食店営業営業開始届出書 警察署 深夜12時以降にお酒を提供する場合 営業開始の10日前まで
風俗営業許可申請 警察署 お客さまに接待行為を行う場合 内装工事終了後、営業開始の約2か月前(警察の標準処理期間が55日のため)
個人事業の開業・廃業等届出書 税務署 個人で開業する場合(法人ではない場合) 開業日から1か月以内
※青色申告を希望する場合は、併せて「所得税の青色申告承認申請書」を提出しておくとよい
労災保険の加入手続き 労働基準監督署 従業員を雇う場合 雇用日の翌日から10日以内
雇用保険の加入手続き 公共職業安定所 雇用日の翌日から10日以内
社会保険の加入手続き 年金事務所(日本年金機構) 開業後可能な限り早く
※法人の場合は強制加入、個人(個人経営で常時5人未満の事務所)の場合は任意加入

居酒屋の開業で成功するためのポイント

居酒屋の経営を成功に導くには、次のようなポイントがあります。開業前の段階から、成功のポイントをしっかり意識しておきましょう。

高いコスト意識を持つ

居酒屋を経営する上でコスト意識は必須です。特に、居酒屋をはじめとした飲食店は、廃業が多い業種だといわれています。廃業率が高くなってしまう要因のひとつには、コスト意識の不足もあるでしょう。

アルコール類がメインとなる居酒屋は、比較的粗利が大きいものの、それゆえに「何にどれだけコストがかかっているか」という意識が低くなりがちです。反対に、無駄を抑え、しっかりとマネジメントを行えば、大きく利益を上げることも可能でしょう。
たとえば、メニューごとの原価率の見直し、調理工程で食品ロスをなくす、適正な価格設定、人員配置やオペレーションの最適化など、売上と経費のバランスを考えた店舗経営が大切です。

マーケティング力を養う

居酒屋は、利益率が高く開業ハードルが低いため、非常に多くのライバル店が存在します。そのなかで成功するには、戦略的なマーケティングが欠かせません。
店のメニューやサービス、ブランディングによる差別化に加え、リピーター獲得のためのポイントサービスやクーポン、キャンペーンなど、さまざまな施策を考える必要があります。

居酒屋を開業するならキャッシュレス決済の導入がおすすめ

居酒屋を開業するには、コンセプトの設計・事業計画書の作成をはじめ、各種手続きなどやるべきことがたくさんあるため、計画的に進めることが大切です。なかでも忘れてはいけないのが、決済方法の検討です。
経済産業省の「キャッシュレス決済 実態調査アンケート集計結果」(2021年)によると、85.4%の飲食店がキャッシュレス決済を導入しており、居酒屋においてもキャッシュレス決済導入の必要性は高いといえます。

新規開業する居酒屋でキャッシュレス決済を導入するなら、ドコモの「d払い」がおすすめです。d払いは、スマートフォンのアプリをつかって行うキャッシュレス決済。d払いなら、9,000万人を超えるdポイントクラブ会員に店舗の存在をアピールでき、集客・売上アップが見込めるでしょう。
また、ドコモでは、d払い加盟店で利用できる「スーパー販促プログラム」を提供しています。「スーパー販促プログラム」をつかえば、お客さまに加盟店からのメッセージやキャンペーン情報を配信でき、集客や利用単価アップといった施策が可能です。
キャッシュレス決済を新たに導入する際には、ぜひドコモのd払いをご検討ください。

飲食店のキャッシュレス決済導入については、下記の記事をご覧ください。

飲食店でカード決済導入は必要?キャッシュレス決済のメリットと注意点

  • キャッシュレス
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よくあるご質問

  • 居酒屋を開くのにいくらかかる?

    日本政策金融公庫の「2023年度新規開業実態調査」によると、開業資金(全業種)の平均は1,027万円、中央値は550万円となっています。居酒屋開業にかかる費用は、店舗の規模や業態によっても異なりますが、居酒屋を含む飲食店の開業資金内訳の例としては、内外装費、不動産賃貸、設備購入、運転資金などがあります。

  • 居酒屋を開業するにはどうしたらいいですか?

    開業までの流れは11ステップあります。
    1. コンセプトの設計・事業計画書の作成
    2. 物件選び
    3. 資金調達
    4. 内装工事
    5. メニュー開発
    6. 資格取得
    7. スタッフ採用
    8. 設備・備品購入
    9. キャッシュレス決済の導入
    10. 広告宣伝
    11. 各種手続きや届け出

  • 居酒屋を開くために必要な資格は?

    居酒屋の開業には、「食品衛生責任者」と「防火管理者」の2つの資格が必要です。これらの資格は、いずれも講習を受ければ取得できます。経営者が自ら取得するほか、従業員のなかから選任してもかまいません。食品衛生責任者は、居酒屋1店舗につき必ず1人以上の食品衛生責任者が必要です。

監修者プロフィール

黒川一美さん

黒川 一美

日本FP協会 AFP認定者、2級ファイナンシャル・プランニング技能士
大学院修了後、IT企業や通信事業者のセールスエンジニア兼企画職として働く。出産を機に退職し、自分に合ったお金との向き合い方を見つけるため、FP資格を取得。現在は3人の子育てをしながら、多角的な視点からアドバイスができるFPを目指して活動中。

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